ソフトウェアの品質を学びまくる
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ソフトウェアの品質、ソフトウェアテストなどについて学んだことを記録するブログです。
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WACATE2024 冬の招待講演セッションにて発表してきました。
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けっこう古新聞*1になってしまいましたが、WACATE2024 冬の「招待講演セッション」にて、『テスト設計技法をチョット俯瞰してみよう』というタイトルで発表をしてきました。 wacate.jp 発表の意図 資料はコチラです。 speakerdeck.com 8月のJaSST'24 北海道の基調講演では、『ソフトウェア品質のダンジョンマッピング』という発表をしています。 speakerdeck.com こちらでわたしの考える品質・QAの世界の広がりを共有したのに対し、WACATEではその中の「テスト設計技法」にフォーカスしています。WACATE本会の中でテスト設計技法がいくつかあったこと、また…
3ヶ月前

2024年後半に読んで特によかった本
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2024年後半に読んだ本を振り返って、よかったな~と思うものを記録しておきます。 ソフトウェア開発 コード×AI コード×AIーソフトウェア開発者のための生成AI実践入門作者:服部 佑樹技術評論社Amazon 著者の服部さんのご講演を聴いてから読んだのですが、GitHub Copilotを使いこなした方の知恵がひたすらに詰まっていて、本当にいいです。「AIで何でもできる!」ではなく、 AIがどこまでならうまくやれるのか、人間はそれをどう補完すべきなのか 人間によるレビューの必要性を踏まえて、どのような出力をさせるといいのか というように、AIと人間の組み合わせの最適バランスを探っていく説明がわ…
3ヶ月前

わたしの好きなデシジョンテーブル表現方法を説明するにもほどがある
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これは、ソフトウェアテストの小ネタ Advent Calendar 2024、10日目の記事として出す。 出すが・・今回まだその時と場所の指定まではしていない。どうかそのことを諸君らも思い出していただきたい。つまり・・我々がその気になれば、記事の公開は5日・10日前ということも可能だろう・・ということ・・! qiita.com テスト設計においてもよく利用されるデシジョンテーブル。 その記述方式は大きく分けて2つ、「制限指定」と「拡張指定」があります。 この記事では、『ソフトウェアテスト技法練習帳』の問題を借りてこの2つの記法を紹介したうえで、わたし自身が気に入っている記法について説明したいと…
4ヶ月前

「過剰品質」とは一体何を指すのか
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「日本の製品は過剰品質なのでコストが高くなり、グローバルで売るのが難しい」といった主張を聞いたことはないでしょうか。 このような主張がなされるとき、本当に現状を憂えている場合もあれば、「日本製品の品質の高さ」をどこか誇っているようなこともあります。 それでは、「過剰品質」とは何を指すのでしょうか。 品質特性と顧客価値 JaSST'24 北海道の発表資料*1で、当日言及できなかったスライドを、Twitterに放流してみました。 JaSST北海道では言及する時間のなかった、「過剰品質」についてのスライドの供養。 日本企業が過剰品質を自嘲する時、「当たり前品質」を頑張り過ぎる➋を言っているつもりが、…
7ヶ月前

デシジョンテーブル超圧縮の夢に破れて
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『ソフトウェアテスト技法練習帳』の勉強会で、めちゃくちゃいい質問がありました。 ソフトウェアテスト技法練習帳 ~知識を経験に変える40問~作者:梅津 正洋,竹内 亜未,伊藤 由貴,浦山 さつき,佐々木 千絵美,高橋 理,武田 春恵,根本 紀之,藤沢 耕助,真鍋 俊之,山岡 悠,吉田 直史技術評論社Amazon その場で答えてはみたのですが、すごく大事な話だと感じたので、ブログ記事にしておきたいと思います。ただわたし自身の理解も足りていないかもしれないので、お気づきの点があればフィードバックお願いいたします。 3行まとめ デシジョンテーブルテストは、「複数の条件を組み合わせた場合の動作」を検証す…
7ヶ月前

QAエンジニアならきっと学びのある『地雷グリコ』を読んでほしい
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突然ですが、わたしはギャンブル物のマンガが大好きです。ギャンブルは弱いんですけどね。 そんなギャンブル物のマンガ、フィクションは、大きく2つに分かれます。 1つは、主人公が強敵たちと戦いながら強くなっていくもの。 運要素もあるのですが、経験や精神力を駆使して戦うものです。ある意味、スポーツ物やバトル物に似ています。 既存ギャンブルを下敷きにしていることが多く、たとえば麻雀の『天』『アカギ』『凍牌』がそんな感じです。直感、情熱、精神力が武器。 ギャンブルを題材に、ストーリーを重視していることが多いので、「ストーリー型」と呼んでおきましょう。 もう1つは、指定されたルールの範囲内で頭脳戦を繰り広げ…
7ヶ月前

仕様スニペット004「サブスクリプションの自動更新」の #テスト設計パターン を考えてみる
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JaSST北海道にかかりっきりで、テスト設計パターンに手をつけられていませんでした。 が、テスト設計パターンを考えることは、テスト設計という分野を今後充実させていくためにけっこう大事なことなんじゃないかと思っているので、仕様をもらえたら続けます。誰か、いい感じの仕様をくれ!! docs.google.com 「テスト設計パターン」「仕様スニペット」って何?という方は、こちらの記事を先にご覧くださいね。 www.kzsuzuki.com www.kzsuzuki.com www.kzsuzuki.com 仕様スニペット004: 「サブスクリプションの自動更新」 第3回に続きこのネタも、かいりさん…
7ヶ月前

2024年前半に読んで特によかった本
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もう8月も終わりますが、2024年前半に読んだ本を振り返って、よかったな~と思うものを記録しておきます。 ソフトウェア開発 継続的デリバリーのソフトウェア工学 継続的デリバリーのソフトウェア工学 もっと早く、もっと良いソフトウェアを作るための秘訣作者:David Farley日経BPAmazon わたしの周りにも優れたスクラムコーチがいて、従来の発想から脱しきれないわたしに、アジャイルのエッセンスや考え方を辛抱強く共有してくれています。 そのうえで読む『継続的デリバリーのソフトウェア』は、わたしの蒙をさらに啓いてくれる良書でした。 実験主義、経験主義という言葉を軸に、「なぜアジャイルが今のよう…
7ヶ月前

JaSST’24 Hokkaidoの基調講演の機会をいただきました #jassthokkaido
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2024年8月23日、JaSST'24 Hokkaidoが開催されました。このイベントでわたしは、光栄にも基調講演のご依頼をいただき、90分のプレゼンテーションを行いました。 拙い発表だったと思いますが、耳を傾けてくださったみなさんに感謝いたします。 www.jasst.jp 資料 資料はコチラです。 speakerdeck.com わたしの資料はけっこう脚注が多いのですが、フォントサイズ9は、オンサイトのみなさんには識別不可能。引用元などの情報を載せていますので、復習などにお使いください。 なお、この資料の構成をベースにして、20年かけて情報量50倍で書籍化したいので、出版社のみなさんお声が…
7ヶ月前

『#テスト自動化実践ガイド』をとっても粗く一読したので感想メモを書いた
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2024年8月の『テスト自動化実践ガイド』を、著者の末村拓也さんからご恵投いただきました。ありがとうございます! テスト自動化実践ガイド 継続的にWebアプリケーションを改善するための知識と技法作者:末村 拓也翔泳社Amazon 隙あれば自分語りおじさんとなり恐縮なのですが、「テスト自動化研究会」のゆかいな仲間たちと、同じ翔泳社さんから『システムテスト自動化 標準ガイド』(通称『ギア本』)と出したのが2014年。 10年経って、同じ翔泳社さんから、E2Eテスト(あるいはシステムテスト)レベルの自動化をスコープにした新しい書籍が出版されたことに、喜びを感じています。 システムテスト自動化 標準ガ…
9ヶ月前

デジタル庁「テキスト生成 AI 利活用におけるリスクへの対策ガイドブック(α版)」を読んでみた
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2024年5月、デジタル庁から『テキスト生成 AI 利活用におけるリスクへの対策ガイドブック(α版)』が公開されました。 www.digital.go.jp 本書自身が「α版」として以下のように注記している通り、生成AIについて特に詳しいわけではもないわたしから見ても、記述に不十分と感じられましたが、「叩き台を作る人はえらい」派の人間なので、このようなものを公開してくれたことに感謝したいです。 実践的なフレームワークやチェックリストによるガイドブックを作成できるまでの知見が蓄積されていないため、留意点の紹介にとどめる。 この記事では、本書の中の特にテスト・品質保証について感じたことを書きたいと…
10ヶ月前

仕様スニペット003「ログインパスワードの再設定」の #テスト設計パターン を考えてみる
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5月19日に、3つ目の仕様スニペット・「003: ログインパスワードの再設定」を公開しました。 2つ目まではわたし自身が作っていたのですが、3つめはかいりさんがネタを提供くださいました! docs.google.com 「テスト設計パターン」「仕様スニペット」って何?という方は、こちらの記事を先にご覧くださいね。 www.kzsuzuki.com 仕様スニペット003: 「ログインパスワードの再設定」 以下の仕様に示されるアカウントロックについて、テスト観点を考えてください。 メールアドレスを入力すると、そのメールアドレスに再発行URLが送信される。 再発行URLにアクセスすると、パスワードを…
10ヶ月前

仕様スニペット002「アカウントロック」の #テスト設計パターン を考えてみる
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5月3日に、2つ目の仕様スニペット・「002: アカウントロック」を公開しました。 docs.google.com 「テスト設計パターン」「仕様スニペット」って何?という方は、こちらの記事を先にご覧くださいね。 www.kzsuzuki.com 仕様スニペット002: 「アカウントロック」 以下の仕様に示されるアカウントロックについて、テスト観点を考えてください。 ユーザはログインの際に、アカウント名とパスワードが求められます。 ※アカウント名・パスワードの文字列長・文字種などについては、議論の対象外とする。 アカウント名とパスワードの組み合わせが正しい場合、ログインが成功します。 アカウント…
1年前

自然言語からデシジョンテーブルを生成する、GIHOZ AIを触ってみた
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ベリサーブ社が公開しているソフトウェアテスト技法サービス「GIHOZ」で、ベータ機能として「GIHOZ AI」が公開されました。 www.veriserve.co.jp 4月時点で利用できるのは、「仕様書などの文字情報からデシジョンテーブルを自動生成する」というものです。これまでは人間がモデルを描いていましたが、その部分をAIに任せられるということになるでしょう。 タスク 従来のGIHOZ GIHOZ AI 仕様の作成 人間 人間 モデルの作成 人間 GIHOZ テストケースの作成 GIHOZ GIHOZ これはMBT(Model Based Testing)の夢が広がりますね~。 さっそく触…
1年前

#テスト設計パターン を考える会 をTwitterベースでやってみた
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少し前から、「テスト設計パターン」(Test Design Pattern)というものを考えています。 その定義を説明する前に、なぜこんなことを考え始めたかについての背景から。 テスト設計パターンとは何か 背景 ソフトウェアテストの設計技法は、書籍をはじめとして各所に情報がまとまっており、学習の難易度はそれほど高くないと思います。一方、一通り学んで、さあ使おう!という段階になると、学んだはずの技法がすんなり適用できないことがあります。 その理由は、大きく以下の2つが考えられます。 書籍に出てくるような練習問題と違って、現実の仕様とテスト設計技法とは、1:1でキレイに対応しているとは限らない。仕…
1年前

「一意な値」パターンのテスト設計を考える
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ユーザーネームとかで重複を許容しない場合に、1. すでにAがある時に別の人がAを登録しようとする2. BさんがAに変更しようとする3. Aを削除してから別の人がAを登録しようとするの3パターンは検証しないといけないと思う。ただ、そういう話はテスト手法?としては体系化されてない気がする。— Hideo Oide🍜 (@hide_ramen_san) 2024年3月28日 おいでさんのツイを見て、「あっ、これ!」と思いました。 テスト設計技法って、たとえばデシジョンテーブルテストとか状態遷移テストなどいろいろありますが、「テスト対象として割とよく遭遇する割には、”テスト設計技法”みたいな形ではまと…
1年前

「品質」と「価値」と「顧客満足」の関係が難しい
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JaSST'24 Tokyoに参加して感じたことの一つに、「顧客に素早く価値を届けるために・・」という表現の発生頻度の高さがあります。特定の発表を批判したり、揶揄したりする意図はありません。この表現が決まり文句的に使われているために、その言葉の意味を考えずにいることを自覚したのでした。 「品質」と「価値」は何が違うのか。 みなさんからいただいたコメントも踏まえて、少し考えてみました。 先にイイワケしておくと、 過去の偉人の議論とか、論文とか、規格における定義とかはほぼ参照していません 特に明確な結論もありません、頭の体操にすぎません ので、ご承知おきください。もちろん、「価値という言葉を使うな…
1年前

【参加メモ】「QA業界のパイオニアが語る!アジャイル・AI時代の品質保証の今」
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2024年3月7日(木)の午後、「QA業界のパイオニアが語る!アジャイル・AI時代の品質保証の今」というイベントに参加してきました。 スピーカーは早稲田大学の鷲崎弘宣先生、永和システムマネジメントの平鍋健児さん、AGESTの髙橋寿一さんです。 この記事は当イベントのメモですが、AGESTのオウンドメディアであるSqripts会員限定&抽選式のイベントであり、SNSでの発信についてのご案内もなかったことから、あまり詳細には触れずに概要を紹介したいと思います。 sqripts.com アジャイルメトリクスの全体像と利用者・顧客満足に向けて 鷲崎先生のご講演です。 初めに、従来型開発とアジャイル開発…
1年前

【参加メモ】AI時代のソフトウェアテストの現在と未来 #genai_autify_launchable
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本日2024年3月5日(火)の昼間に開催された、『AI時代のソフトウェアテストの現在と未来』というイベントがとてもよかったので、特に印象深かったポイントについて共有したいと思います。 イベントの詳細はこちらで。 autifyjapan.connpass.com 登壇者はタワーズ・クエストの和田卓人 @t_wada さん、Launchableの川口耕介 @kohsukekawa さん、Autifyの近澤良 @chikathreesix さんのお三方。ファシリテーターは、近澤さんと同じくAutifyの、末村拓也 @tsueeemura さんです。 宣伝タイム Launchableは、「テストの失敗…
1年前

JaSST'24 Tokyoでパネルディスカッションに参加します!
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JaSST'24 Tokyoは3/14(木)、3/15(金)に開催。再来週に迫ってきました。 jasst.jp わたしも同僚とともに2日間、現地で参加予定。とても楽しみにしています。 IT系イベント・カンファレンスといえば最近はオンライン開催も多く、自宅から気軽に参加できる大きなメリットを享受しています。運営に関わるみなさまには感謝ばかりです。 一方で現地イベント。移動の手間はかかるし、聴講する環境も必ずしも良くはなかったりする。それでも。 それでも、現地ならではの熱気と、何より自分自身の集中力がまったく違うんです。現地イベントにおけるわたしの集中力を53万とすると、映像コンテンツの苦手なわた…
1年前

なわとびから考える情報の仕分けとソフトウェアテスト
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レビューの難しさの一つに、「レビューする側とされる側で、感じる重みにギャップのある指摘」問題があります。 特に、「レビューする側は大事な問題だと思っているのだけれど、される側はそう思っていない」ものが厄介です。このような場合、される側は「そんな重箱をつつくようなことを言わなくても・・」と感じているので、小手先の修正に終わってしまい、次回もまた同じことをやってしまいがち。 その種の指摘の例として、「列のタイトルとデータが整合していない表」があります。 「いやそんなことある?」って思われるかもしれませんが、「最初に列タイトルをつけてからデータを入れていったところ、タイトルとあまり関係ない情報も出て…
1年前

2023年後半に読んで特によかった本
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2024年になりました。新年、あけましておめでとうございます! 2023年の後半に読んだ本を振り返って、よかったな~と思うものを記録しておきます。 ソフトウェア開発 システム障害対応の教科書 システム障害対応の教科書作者:木村 誠明技術評論社Amazon ITシステムの障害対応は、「有期であり」「ユニークである」という特徴を考えると、プロジェクトの一種として捉えることができます。しかし、通常のプロジェクトと大きな違う点があります。それは、「納期が、”とにかくできるだけ早く”である」という点です。 この性質のために、中堅が若手に「じっくり教える」「やらせてみる、失敗も経験させる」というトレーニン…
1年前

ChatGPTで、語幹から英単語を辿り続けるチャットボットを作ってみた
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作ったもの 語幹を元に、英単語を辿り続けるチャットボット「ミキータ」です*1。 https://chat.openai.com/g/g-fqzH1mgRr-mikita2 できることは、以下の3つだけです。 英単語を指定すると、その単語の意味を説明したうえで、語幹に分解して提示してくれます。 提示された語幹の1つを選ぶと、その語幹を含む英単語を3つ提示してくれます。 提示された英単語の1つを選ぶと、1.と同じことをしてくれます。 使用例 カバは漢字で書くと「河馬」、英語のhippopotamusも「河の馬」を表すという素晴らしい知識を持っているため、最初に「hippopotamus」を指定して…
1年前

「シナリオテスト」とは一体、何なのか - その6・ユースケーステストのカバレッジ
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「その6」は、3年以上前のこちらです。 www.kzsuzuki.com Twitterで交わされていた「ユースケーステストのテストカバレッジ」という言葉が気になったので、考えてみました。 ユースケースやユーザーストーリーのテストカバレッジを考えるとき、カバレッジの段階にはC0, C1, C2みたいな呼び方はあるのかな。具体的には、 (1) のみを満たしたカバレッジに何か名前はついてる?1. 基本的な振る舞い2. 代替の振る舞い3. エラー時の振る舞い— tsuemura (@tsueeemura) 2023年11月5日 もしかすると、同じようなこと(というかもっと優れたこと)を言っている文献…
1年前

共感的テストとは何か
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ソフトウェアテストエンジニアの仕事というと、どうにかしてバグを見つけること、つまり「プロダクトをどう壊してみせるか」が重要だと思われがちです。『How to Break Software』という本もあるくらい。 それだけに、テストエンジニアは開発者から、自分の作品を傷つけにくる「破壊者」として敵視されるリスクもあります。JSTQB Foundation Levelのシラバス(の1つ過去のバージョン)には「テストの心理学」という節があり、このように述べられています。 テスト担当者およびテストマネージャーは、欠陥、故障、テスト結果、テストの進捗、リスクの情報を効果的に伝えることができ、同僚と建設的…
1年前

にしさんに贈る言葉
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にしさんが亡くなった。 にしさんは、メチャクチャな人であった。面白そうなこと、ワクワクすること、ソフトウェアテスト・品質の分野の発展につながりそうなことなら、何でもやっていた。 日本のどこにでも、世界のどこにでも行っていた。そこでしゃべっていた。動いていた。 尊敬する先達はたくさんいるけれど、その中でも「やりたいことがありすぎて、楽しくてしかたない」という光に溢れている人だった。 にしさんは、ソフトウェアテスト・品質の進むべき道を切り開く先導者であり、扇動者であった。 ソクラテスのいうシビレエイのような存在であった。 ビジョナリーというとカッコいいけれど、ビジョンを示すだけでなく、自分でも動き…
1年前

猿とシェイクスピアと失敗とChatGPT
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「猿とシェイクスピア」の話は、いろんな文脈で出てくるアナロジーです。 猿がランダムにキーボードをたたき続けると、いずれはシェイクスピアの戯曲と同じテキストが生成される。 あるいはその逆に、 猿がランダムにキーボードをたたき続けてシェイクスピアの戯曲を生成するには、宇宙の寿命があっても足りない。 といったように言及されます*1。 一方『失敗の科学』では、この話に別の観点を与えています。 失敗の科学作者:マシュー・サイドディスカヴァー・トゥエンティワンAmazon アルファベットと空白からなる27種類の文字からランダムに生成した28文字の文字列が、シェイクスピアの一節28文字と一致する確率は、わず…
2年前

テスト設計技法を分類する「Ostrandの4つのビュー」の原典に一生たどり着けない
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暑かった夏ももう終わり。そろそろ秋ですね。 この記事では初秋らしく、テスト技法を分類する切り口の1つとしての「Ostrandの4つのビュー」を紹介します。 手始めに、『ASTERセミナー標準テキスト』を引用してみましょう。 ASTERセミナー標準テキストV3.1.1より 「4つのビュー」におけるテスト技法の分類 ここでの主張は、以下の2点です。 テストの技法は、4つのカテゴリーに分けることができる User-oriented (ユーザ指向): ユーザの要求に合うか、利用時に満足しているか 例: ユースケーステスト Spec-oriented (要件指向): 仕様通り実装しているか 例: 境界値…
2年前

リグレッションテストとは何なのか
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小説なんかでいわれる「緻密なプロット」の何がすごいって、「情報に関する情報」のコントロールだと思うんですよね。 人物Xは、事実Fを知らない。 人物Yは、事実Fを知っている。 これなら単純なのですが、一階層上がって 人物Zは、「人物Xが事実Fを知らない」ことを知っている。 人物Zは、「人物Yが事実Fを知っている」ことを知っている。 でもすでに複雑ですし、さらにもう一階層上がって 人物Yは、「「自分が事実Fを知っている」ことを、人物Zが知っている」ことを知らない。 となってしまうと、もうかなりややこしいですよね。そしてこの状況は、物語が進むにつれて変化していくわけです。 このような条件が入り組めば…
2年前

2023年前半に読んで特によかった本
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今年の前半6か月で読んだ本のうち、お気に入りのものを紹介します。 読んだ後時間が経つとどんどん書く気がなくなるので、その時点でツイートに吐き出したものをまとめ直しております。 なお、前回分はこれ。 www.kzsuzuki.com IT技術系 アジャイルメトリクス アジャイルメトリクス作者:Christopher W. H. Davis翔泳社Amazon 開発方法論がウォーターフォールからアジャイルになったからといって、メトリクスが本質的に変わることなんてあるのだろうか?と思いながら読みました。 結果としては、たぶんYES。最近よく「ソフトウェアの品質とは何か」という哲学質問をTwitterで…
2年前